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場末 その2 ジャンボ


「それなら、おもしろい定食屋がありますよ。まだ食べたことはないですけど…」
<場末のグルメ>の趣旨を説明すると、 娘ムコが笑いながら言う。
場所は宮崎(娘家族の住む町)市内だ。
娘ムコの会社の近くにあり、気になっていたらしい。
店名がジャンボだけに、量が多いというウワサ。

食べログで調べると、評価が2.99。
「金を出して臭い飯を食べることは出来ない」と、評価1.5の口コミもあった。
<3.0以下の評価で、臭い飯>と聞くと、そそられるではないか。
何が何でも食べてみたいと、12時前に店の前までやってきた。

扉を開けると、後期高齢者(であろう)夫妻が丸テーブルに座って、お茶をすすっていた。
「いらっしゃいませ。今日の日替わり定食は焼き飯です。味噌汁が付いて500円です」と、安さを強調するお婆さん。
お薦めの日替わり定食を注文して、カウンターに座った。
お爺さんがカウンター前の厨房に立ち、中華鍋で焼き飯をかき回す音が聞こえてくる。

店内は5人程度が座れるカウンターとテーブル席が2席。
壁に掛っている古ぼけた鳩時計が、場末感を引き立てている。
鳩時計は正午になっても鳴かないが…。
カウンターにはポットと茶碗が置いてある。
お茶を注ぐと、お白湯のように薄い番茶が出てきた。

焼き飯が出来上がってきた。
あれ、ジャンボではない。
量は普通だ。
注文する時に大盛りと言えば、値段が同じで大盛りに出来るらしい。
そのルールを知っていても、量が多いと聞いていたので、あえて大盛りと注文する勇気が無いが。

早速食べてみた。
あれ、普通に美味しいではないか。
ご飯も臭くない。
肉もたくさん入っていた。
不味いと思っていたのに、全く期待はずれだった。

店は作業着の労働者で満員になっていた。
店名の看板の上に「皆様のお胃袋担当店」と書いてあるように、近所の運送会社や工場の社員たちが常連客のようだ。

客の何人かがメニューを見て、<香り焼き定食>を注文していたが、お婆さんが「作るのに15分ぐらい掛るから」と言って、<味噌焼き定食>の方を薦めていた。
「絶対美味しいから。食べた人は必ずご飯のお代りをする」とお婆さんが執拗に薦めるので、客は渋々<味噌焼き定食>を注文していたが、ご飯をお代りする人は誰もいなかった。

すべてのメニューに、生ぬるい珈琲が付いている。
日替わりの焼き飯が美味しかったのは期待外れだったが、お爺さんとお婆さんのサービス精神が温かく、場末度80点。 (点数に何の意味は無いが)


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