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場末 その4 マルヤ


1970年代には<街かどの洋食屋>という店舗があった。
ハンバーグ、トンカツ、海老フライなど、揚げ物が中心のレストランだった。
その時代、百貨店の食堂か、街かどの洋食屋が家族が集う外食店だった。

だが、スカイラークやロイヤルホスト等のファミレスが登場すると、<街かどの洋食屋>は徐々に姿を消していく。
21世紀になって、その姿を見かけるのは難しく、絶滅危惧種になっている。

話は変わるが、最近街かどの一膳めし屋も見かけない。
○○(ご当地の地名)食堂やザ・めしやなどの店舗がその役割を担っている。

さて、マルヤという洋食屋は、尼崎と宝塚を結ぶ尼宝線沿いにある。
黄色のテント地に赤の店名が目立つ。
陳列に並べられているメニューが昔ながらの風情を滲ませている。
海老フライとハンバーグのAランチが730円、トンカツのBランチが630円、海老フライとトンカツのCランチが730円、そして、トンカツとハンバーグのDランチが830円。

私はAランチを食べた。
みじん切りのキャベツに、ハム、そして洋食屋の定食には欠かせないイタリアンスパゲティが付いている。
特別、これといった特色はないが、気取りが無くシンプルで美味しい。
強い満足感を与える。

狭い店内に、意外と客が多かった。
昔ながらの定食屋に郷愁を感じる人がいるのだろう。


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