TOP


場末 その6 ラーメン銀河


伊丹駅前も至る所にラーメン店がある。
ラーメン激戦区といえる。最近、行列の出来ているラーメン店の前を通る。
昼飯時なら、20名以上が並んでいる。

場末のグルメを探していると、阪急伊丹線の高架近くに、そのラーメン店はあった。
なぜ、この店に入ったのか?
昼飯時だというのに、客が誰もいなかったのだ。
入ろうか入るまいか、迷っていると、夫婦とみられるご老人が入られた。
その姿が何とも場末感が漂っていた。
ご老人ふたりから、少し遅れて入店する。

10席程度の、カウンターだけの店内。
三角巾を頭に巻いた男女ふたりの店員が、カウンターの中でラーメンを作る。
ご老人ふたりは550円のラーメンを注文する。
料金は安い。

私は650円の銀河ラーメンを注文。
ラーメンの他に、チャーハン、から揚げ、キムチのメニューがある。
ところが、ラーメン店の定番、餃子がメニューにない。
「近くに大阪王の餃子専門店があるからなのかもしれない」と、私は想像した。
この餃子専門店は餃子とビールしかない、本格的な専門店なのだ。
日本一美味いというウワサの店だ。
近くにそんな有名店があるので、遠慮しているのだろうか。

ラーメンは豚骨醤油に背脂と白菜。
味は普通。

ラーメンを食べ始めると、隣に座っている老夫婦が政治の話をしていた。
「小泉首相は郵政民営化以外に何もしなかった」と旦那さん。
かなり古い話だ。
奥さんの方はラーメンをすすりながら、黙って話を聞いていた。

他に客がやってくる様子もなく、場末感が漂ってくる。


目次