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ビーズのすだれ
風にゆられて、ビーズのすだれがサラサラと音を立てている。
生前母親が作ったものだ。

震災後、両親はパン屋の店を閉じて、一緒に住むようになった。
長年パンの仕事一筋だった母親はあり余る時間の使い方が判らなかった。

ビーズ工芸の教室があったのを見つけて、私は母親を通わせた。
その時作ったすだれは今も扉の前に掛かっている。
音が鳴ると、すだれを見て母親を思い出す。
(令和元年9月1日)
ナツメ

妻の友だちが我が家に泊まった時の土産として、中国産のナツメを置いていってくれた。
「このまま食べたら、美味しい」といわれ、食べてみた。
独特の甘さがあり、美味しいというよりも不味くはない。

それから、2か月が経過した。
それらはそのまま食べられずに、棚の中で眠っていた。

妻が食べる気配がないので、最近私が食べ始めた。
せっかくもらったものだから、このまま捨てるにはもったいないと思ったからだ。
生薬として、強壮作用・鎮静作用があるというので、毎朝1つ食べているが、その効果は…。

(令和元年9月1日)
イズミヤの商品券

敬老の日のお祝いにと、町内会から商品券をもらった。
66歳なのでりっぱな老人なのだが、敬老の日にお祝いされると、歳を取ったことを自覚してしまう。

94歳の父親も同じ千円の商品券をもらっているのだが、ちょっと申し訳ないような気にもなる。

近所の人でひとり、まだ受け取りたくないという60歳代の人がいる。
まだ、若いというこだわりがあるのだろうか。

高齢化社会なのだから、70歳からでも良いと思うのだが、頂いたものは遠慮なく使わせてもらう。


(令和元年9月19日)
 
 
 

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