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父の遺伝
晩年の父は食事にこだわりがなかった。
生きるために、何でも口に入れたら良いとまで言っていた。
一時鍋にパンと牛乳、それに魚の缶詰をいれて煮たものを、朝昼晩の3食食べていた。
炊いている時、厨房に独特の匂いが立ち込めていた。
横で嫁さんが鼻をつまんで、苦い表情をしていた。
最近、私は毎朝納豆を食べている。
先日、晩御飯の残りの味噌汁に、酒粕やおろし大根、それに納豆と卵を入れて煮ていた。
嫁さんがそれを見て、「お義父さんに似てきたね」と、鼻をつまんでいた。
(令和7年3月1日)

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