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★ウランのお食事

ドッグフードを試食してみた。
見た目には「鹿のウンコ」のようなものだが、味も鹿のウンコのようであった。
口に含むと、無味のなかに草のような、クスリのような匂いがプーンとする。
飲み込もうとしたが、なかなか飲み込めない代物である。
食べたくて食べたのではない。
最近、ウランがこの食事を前にした時、どうも食欲がわかないらしいのだ。
朝と夕方の2回、食事を与えているのだが、朝、与えた食事は夕方まで残していて、夕方の食事時に「いらないのか」と引っ込める仕草をすると、仕方ないように食べ出すのだ。次の朝も同様で、夕方の食事を残している。
「ははぁ〜ん、食事の合間の腹が空く時のことを考えて、残しているのやな」と思っていたのだが、少し違うようなのだ。
やはり、マズイらしい
食べる様子がいかにもマズそうなのだ。おやつ代わりにビーフジャーキーや100%牛皮で作られたスティックガムなどを与えると、いつもの食事の様子とは明らかに違う。
美味そうである。
スティックガムはさすがに硬くて試食出来なかったが、ビーフジャーキーのほうは塩気はないものの、確かに牛肉の味がしていた。
ドッグフードというのは食料というより、飼料なのだ。
袋の裏には、鶏肉や野菜のほかに塩化コリンや酸化マンガン、ナトリウムなどの得体のしれない物質が50種ほど連ねてある。
「毛並みを良くし、犬の健康を考えた」と大きな文字で書いてあるのだが、ウランにとっては大きなお世話だ。
「もうちょっと、美味しいのにしてよ」と言いたいのだろう。
だが、美味くないドッグフードを美味くないと感じさせた責任の一端は飼い主にある。
美味いか美味くないかは比較の対象がある場合に感じる。 ドッグフードしか与えられなかったら、食事というものはこんなものなのだと思い続けたはず。喜ぶ顔みたさに、食べ残したウルメの頭やスペアリブの骨などを与えるから、「え、何これ、こんな美味しいものがあったんか」と真実を知ってしまったのである。
これは私の責任である。



写真:ウランの食事

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