金川淳一アルバム・想い出6
 
 
淳一が発病する夏、家族で大山へ出かけた。
10年ぶりの家族旅行だった。
長女亜由美のクラブ、淳一のバレーボールやバスケットボールなどが重なり、家族で行動する機会が無かった。
愛犬ウランと一緒に宿泊できるペンションを選んだ。
大山の牧場でバーベキューを食べ、ソフトクリームを買って食べた。
淳一は美味しいと気に入っていたので、 次の日も立ち寄ってソフトクリームを食べた。
境港の商店街は水木しげるの出身地でもあり、「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくるキャラクターの銅像がある。
鬼太郎の像の前で撮った写真が葬儀の時の遺影となった。
家族旅行の翌週、バスケットの仲間と天橋立に出かけた。
台風が近づいていたが、その日は良い天気だった。
かなり胸の痛みがあったと思うが、その素振りも見せず仲間と室内プールではしゃいでいた。
一体、何をしているのだろう。
遺影に手を合わせて鐘をならしていると、ふと思う。
これは冗談じゃないかとも。
今にも、バスケット道具の入った大きなバッグをぶら下げて、階段を上がってくるのではないかと思ったりもする。

淳一は先頭に立ってみんなを引っ張っていくタイプの子供ではありませんでした。黙って後ろから付いていき、落ちこぼれている子に声を掛ける、そんな子供だった。

お通夜や葬儀には、驚くほどたくさんの仲間や同級生が弔問にやってきてくれた。
「淳君のこと、けっして悪く言う子はいないよ」という友人の言葉に、少し誇らしい気持ちに。