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★ウランの仲間

縁日で手に入れた金魚はすぐ死んでしまう。
今までに何度となく、金魚を飼ってみた。
しかし、5日もすると死んでしまう。
丁寧に扱ったものだが…。
こまめに水を換えてみた。
エサをやりすぎないように注意した。
が、何日かすると、最初に一匹がぽっかり仰向けになって死んでいる。
そうなると、後に残った金魚も時間の問題だ。
縁日の金魚はほとんどが病気持ちで、それが感染して御陀仏になるのだろう。

例外がひとつあった。
縁日で一匹だけ、子供がすくって持ち帰ってきた。
またすぐに死んでしまうのだろう。
小さな花瓶に水草をいれ、金魚を放してやった。
ひとりで死んでいくのは寂しいだろうなぁとは思ったのだが。
だが、これが意外に長生きした。
5日が過ぎ、10日が過ぎても死なない。
一ヶ月経っても、元気に生きていた。
災難はいつやってくるか判らない。
家にアブラムシやダニが多く発生するので、バルサンを焚くことになった。
家中にバルサンを焚く準備をし、大事なものは屋外に出していた。
ところが、忘れていた。
小さな花瓶はリビングの棚の上に忘れられていたのだ。
アブラムシもダニもいなくなったが、金魚もいなくなった。

娘が新しいペットを買ってきた。
ペタという熱帯魚だ。
縁日の金魚と同じく、小さな水槽に入れる。
ヒレが大きく、まるで舞台衣装を着ているようである。
悠々と小さな水槽で泳いでいる。
この熱帯魚は必ず一匹で飼わないといけないそうだ。
他のペタを入れると、喧嘩して死んでしまうらしい。
他人じゃなかった、他魚と交わらない、ひとり堂々と生きている。
孤独を愛して止まない。
この姿勢が何とも共感を呼ぶ。
雄なので、五郎と名付けた。
五郎を前に、ビールを飲む。
この安らぎはたまらない。

バルサンには気を付けないといけない。